事業案内

第12回シンポジウム

精神障害者の家族支援と
Early Intervention を考える
~英国の経験に学ぶ~

第12回シンポジウム 精神障害者の家族支援と Early Intervention を考える ~英国の経験に学ぶ~

日 時
2008年6月22日(日) 10:30 - 16:50
会 場
明治大学アカデミーコモン3F アカデミーホール
東京都千代田区神田駿河台1-1(JR御茶ノ水駅御茶ノ水口徒歩2分)
参加費
事前登録 : 一般¥2,500 会員¥1,500 (ホームページ予約¥200引)
当日受付 : 一般¥3,000 会員¥2,000
懇親会
事前登録 : 一般¥2,500 会員¥1,500
当日受付 : 一般¥3,000 会員¥2,000

なぜ、今、「家族支援と Early Intervention」なのか

英国では、歴史的反省をして、「家族支援と Early Intervention」に力を注いでいる

英国では、1995年、介護者支援法『Carers ACT』が施行されました。主に家族を支援する法律です。その後、1999年からスタートした「精神保健対策10カ年計画」では、家族支援専門ワーカーが導入され、危機解決/家庭治療チーム、積極的訪問治療チーム、発病初期介入チームを大幅に増やすなど「家族支援と Early Intervention」に徹底して力が入れられています。そして、英国精神医学会は、2005年に、「これまでの家族へのアプローチは歴史的誤りであった」と歴史的反省を行っています。

翻って日本の現状はどうか

「社会的入院」の解消がなかなか進まない

「社会的入院」7万人の退院促進が進まないでいます。原因のひとつは家族への支援策がないためです。

「外来ニート」が膨大にいる

外来通院している以外はニート状態(仕事も通学も通所もしてない)の精神障害者が「社会的入院」の数倍はいると推定されます。ニートの状態が10年、20年と続き、家族が高齢になっている例が少なくありません。通所していないので障害者自立支援法はあまり役立ちません。本人と家族への支援が急がれます。

Early Intervention が必要、そのために家族への支援が必要

「社会的入院」や「外来ニート」を生み出さないようにするべきです。そのためには Early Intervention(早期治療・早期介入)に力を入れる必要があります。Early Intervention では家族への支援が欠かせません。しかし、Early Intervention も家族支援も日本では極めて不十分です。

「家族支援とEarly Intervention」について熱く論じてみたいと思います。英国で「家族支援とEarly Intervention」に中心的に取り組んでおられるDr. Smith をお招きしました。さらに、日本の色々な立場の方をお招きしてパネルディスカッションを行います。

交流スペース

参加者の所属する精神科関連施設等の宣伝や作品や展示販売、書籍等の販売ができます。
事前登録時にお申し込みください。

プログラム

9:30
受付開始
10:30
シンポジウム開演
【座長】伊勢田 堯羽藤 邦利(メンタルケア協議会理事長)
開会挨拶
浜田 晋(メンタルケア協議会顧問)
10:35

第1部 英国の経験に学ぶ

10:35~11:00
伊勢田 堯 (前東京都立多摩総合精神保健福祉センター所長)
11:00~12:30
英国における近年の家族支援の発展
Dr. J. Smith (英国ウォセスター州ニュータウン病院心理部門 Chartered Clinical Psychologist, PhD)
12:30
昼休み
(メンタルケア協議会総会を行います 会員のみ出席可 お弁当付き)
13:15

第2部 パネルディスカッション
日本の家族支援と Early Intervention はどうあるべきか

13:30~13:40
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害福祉課 挨拶
13:40~15:05
パネリスト発言
「家族からの問題提起」

野村 忠良 (東京精神障害者家族会(つくし会)会長)

「ACT岡山の実践から見た家族支援」

藤田 大輔 (岡山精神保健福祉センター)

「福祉現場から見た家族支援」

増田 一世 (やどかりの里家族支援研究会)

「早期介入と家族支援」

西田 敦志 (東京都精神医学総合研究所)

指定発言
「精神科診療所の視点から」

平川 博之 (日本精神科診療所協会副会長)

報告
「緊急対応ニーズ調査から」

西村 由紀 (メンタルケア協議会理事)

15:05
休憩
15:20

第3部 総合討論

16:45
閉会挨拶

穂積 登 (メンタルケア協議会前理事長)

17:20
懇親会 (アカデミーコモン2F 研修室)

会場案内

明治大学駿河台校舎 アカデミーコモン 3Fアカデミーホール

JRお茶の水駅 お茶の水口改札口より徒歩2分

講師プロフィール

伊勢田 堯 (いせだ たかし)

前東京都立多摩総合精神保健福祉センター所長

1968年 群馬大学医学部卒業。1969年 群馬大学医学部・神経精神医学教室入局、生活臨床研究室に所属。1974年群馬大学医学部・神経精神医学教室文部教官助手。以後、デイケア部門主任、病棟医長、外来医長、医局長を歴任。1974年高崎保健所嘱託医(約5年間)。 1977年 精神分裂病の家族研究により、医学博士号取得。1979年生活臨床研究室主任。生活臨床の地域精神保健活動モデル地域の一つである、群馬県佐波郡境町の精神保健相談医(約13年間)。この間、1988年5月から 12月までの8カ月間英国ケンブリッジ、フルボーン病院・ケンブリッジ精神科リハビリテーション・サービス部門に留学。1992年東京都立精神保健センター・地域援助医長。1995年 東京都立中部総合精神保健福祉センター地域保健部広報援助課長。1997年東京都立多摩精神保健福祉センターリハビリテーション部長。2001年 東京都立精神保健福祉センター・所長。2004年東京都立多摩総合精神保健福祉センター・所長。2008年4月代々木病院非常勤医師、松沢病院非常勤医員、明星大学非常勤講師(後期)。

主な役職

日本精神障害者リハビリテーション学会常任理事、現在政策担当。日本精神衛生会「心と社会」編集委員。世界心理社会的リハビリテーション学会(World Association for Psychosocial Rehabilitation)・精神障害リハビリテーションに関する国際的 先進活動選考委員会委員(1994年から1999年まで)。“Schizophrenia Frontier”編集アドバイザー。日本精神保健福祉政策学会評議委員。日本地域司法精神保健福祉研究会運営委員。

Joanne Victoria Elizabeth Smith

英国ウォセスター州ニュータウン病院心理部門 Chartered Clinical Psychologist, PhD

Dr. Joanne Smithは、現在、ウォセスター州のニュータウン病院心理部門にChartered Clinical Psychologistとして勤務しておれます。同時に、同州の精神保健ネットワーク(Mental Health Partnership NHS Trust)のEarly Interventionに関する責任者を務めながら、Early Interventionサービスの実施に直接携わっておられます。また、Early Interventionのプログラムの開発に関するイングランド精神保健機構(NIMHE)と英国家族会(RETHINK)とのジョイント企画1)の二人の責任者のうちの一人です。
1981年にバーミンガム大学心理学科を卒業された後、1990年に同大学でPhDを取得。長く臨床に携わりながら、精神障害者と家族への介入(Intervention)に関して多数の業績を挙げておられます。近年では、早期介入の患者・家族への心理教育ツールキットの開発や、「早期介入のための臨床ガイドライン」2)、保健省のガイドライン3)の作成に携わるなど、州レベル、国レベルの政策決定に関わっておられ、さらに米国国立精神保健研究所のリカバリー・プロジェクトのコンサルタント4)を務めるなど国際的にも精力的に活躍しておられます。これらの業績が評価され2003年に英国心理学会賞を受賞されています。
英国では臨床心理士 Clinical Psychologist は、精神保健の分野で、精神科医に比肩、あるいは凌駕する役割を担っています。Chartered Clinical Psychologist は Clinical Psychologist の中でも特別の資格のようです。

  • 1) CSIP(NIMHE)/RETHINK Joint National Early Intervention Programme Lead
  • 2) the Clinical Guidelines and Service Frameworks for Early Intervention in Psychosis (2000); Dr. Smithが会長を務める the IRIS project(Initiative to Reduce the Impact of Schizophrenia)による。
  • 3) the UK Department of Health Early Intervention Policy Implementation Guide (2001)
  • 4) International Consultant to RAISE(Recovery after an initial schizophrenic episode) Project, NIMH, USA and Canada

野村 忠良 (のむら ただよし)

東京都精神障害者家族会(つくし会)会長

1964 年東京教育大学文学部哲学科入学。1966年臨済宗廣徳寺で僧籍に入る。1969年東京教育大学中途除籍。1970年還俗。1972年知的障害児入所施設「社会福祉法人滝乃川学園児童部」就職。1979年知的障害者更生施設「社会福祉法人滝乃川学園成人部」へ移籍。1988年同施設退職。1989年精神障害者小規模作業所「梅の木の家共同作業所」就職。1995年精神障害者小規模作業所「レスポワール工房」へ移動。2004年同作業所(2003年小規模通所授産施設に変更)停年退職

家族会活動歴

1975年府中市精神障害者を守る家族会入会。 1996年東京都精神障害者家族会連合会理事就任。1997年東京都精神障害者家族会連合会副会長就任。全国精神障害者家族会連合会評議員就任。1998 年全国精神障害者家族会連合会監事就任。1999年府中市精神障害者を守る家族会会長就任現在に至る。2000年全国精神障害者家族会連合会監事退任。 2005年東京都精神障害者家族会連合会会長就任現在に至る。

藤田 大輔 (ふじた だいすけ)

岡山県精神保健福祉センター

精神科医になって、16年目。総合病院神経内科での研修の後、単科精神科病院を数か所経験し精神科急性期治療、病院内チーム医療での早期退院への関わりを実践。平成15年英国に community care 研修目的で留学。帰国後現職(岡山県精神保健福祉センター)にて、ACTおかやま事業実践中。

増田 一世 (ますだ かずよ)

やどかりの里家族支援研究会

1978 年明治学院大学社会学部社会福祉学科卒業。精神医学ソーシャルワーカーを目指し、やどかりの里の研修生となり、精神障害者とのグル―プ活動に従事する。精神障害者への援助活動の傍ら、出版事業を行う。1979年やどかりの里職員。1985年やどかりの里理事。1989年やどかり出版代表。1997年精神障害者福祉工場「やどかり情報館」開設し、やどかり情報館館長。2001年やどかりの里常務理事。精神障害者とともに働きながら、地域づくり、人づくりに注目した事業展開を目指している。

主な役職

2002年日本健康福祉政策学会理事。2004年埼玉県社会就労センター協議会副会長。さいたま市障害者施策推進協議会、さいたま市精神保健福祉審議会、さいたま市自立支援協議会等委員。

主な著書
  • 地域看護学講座4グループ・組織化活動(共著)医学書院 1994年
  • インターフェースの地域ケア(共著) やどかり出版 1995年
  • 健康福祉の活動モデル(共著) 医学書院 1999年
  • 職員主導からともに創り合うやどかりの里への転換(共著)2000年
  • グループ活動の理論と実際(共著) やどかり出版 2002年
  • プラクティス・1 共生・共創・協働の社会1 もう1つの価値 やどかり出版 2005年
  • これでいいのか障害者自立支援法 1.2 2006年
  • 社会福祉方法原論の展開(共著)高菅出版 2007年

西田 淳志 (にしだ あつし)

東京都精神医学総合研究所

2002年同志社大学文学部社会学科社会福祉学専攻卒業。2004年三重大学大学院医学系研究科生命医科学専攻修士課程修了。安東医院医療福祉相談室勤務。2008年三重大学大学院医学系研究科生命医科学専攻博士課程修了(医学博士)。

主な役職

東京都精神医学総合研究所・統合失調症プロジェクト・統合失調症チーム勤務。日本精神障害予防研究会世話人。東京都精神医学総合研究所・統合失調症チーム・研究員

研究分野

精神保健学 / 精神疾患の予防・早期支援に関する研究

お問合せ

特定非営利活動法人 メンタルケア協議会
〒151-0053 東京都渋谷区代々木1丁目55番14号 セントヒルズ代々木 403号室
TEL:03(5333)6446 メールはこちら